ヴィユー・リヨン、クロワ・ルース、フルヴィエールと、リヨンの丘や旧市街を巡ってきましたが、実は多くの旅行者が最初に足を踏み入れ、ホテルを構えるのはプレスキル(Presqu'île=半島)です。ソーヌ川とローヌ川に挟まれたこの地区は、リヨンの商業と行政の中心地であり続けてきました。そして半島の先端まで歩けば、19世紀の街並みから一転、コンフリュエンスという最先端建築が広がるエリアにたどり着きます。歴史と未来が同じ半島の上に同居する、リヨンのもう一つの顔を紹介します。

写真:visitelyon.fr
この記事を書いた人
リヨン出身のフランス人。日本在住。日本人旅行者向けに、実際の現地情報をわかりやすく紹介しています。
プレスキルとは——2つの川に挟まれた「半島」
「プレスキル」はフランス語で文字通り「半島」を意味します。西にソーヌ川、東にローヌ川が流れ、この2本の川に挟まれた細長い地形がリヨンの街の骨格を作っています。中世から商業の中心地として発展してきたこのエリアは、19世紀半ば、知事クロード=マリウス・ヴァイス([フルヴィエールの丘 完全ガイド]でも登場する人物です)のもとで大規模な都市整備が行われ、現在の街並みの基礎が築かれました。
ベルクール広場——フランス第4位の広さを誇るリヨンの中心
プレスキルの中心にあるのがベルクール広場です。310m×200m、約62,000㎡という広さは、フランスの広場の中でも第4位を誇ります。名前の由来は、かつて大司教が所有していた「ベラ・クルティス(美しい庭)」というブドウ畑から。1658年にルイ14世がこの地を「王の広場」と定めたことで、現在の姿の礎が築かれました。
広場の中央にはルイ14世の騎馬像が立っています。実はこれは2代目の像です。初代は1713年に彫刻家マルタン・デジャルダンが制作しましたが、フランス革命の際に破壊され、現在の像は1825年にフランソワ・フレデリック・ルモが手がけたものです。冬季(11月〜3月)には広場の東側に高さ60mの大観覧車が登場し、季節ごとに異なる表情を見せてくれます。

リュ・ド・ラ・レピュブリック——19世紀に生まれたショッピングストリート

写真:Wikimedia Commons
ベルクール広場から北へ延びるリュ・ド・ラ・レピュブリックは、リヨン随一のショッピングストリートです。1858年、ヴァイスの都市計画のもとで「リュ・アンペリアル(帝政通り)」として切り開かれ、市庁舎とベルクール広場を一直線に結ぶ目抜き通りとして誕生しました。その後何度か改称を経て、1878年に現在の名前に。1975年に歩行者専用化され、以来リヨン市民と観光客でにぎわうメインストリートとなっています。かつてこの通りには老舗百貨店「グラン・バザール」(1886年開業)があり、リヨンの近代小売業の発展を象徴する存在でした(2005年に取り壊し)。現在も大小さまざまなブティックが軒を連ねています。
コンフリュエンス——工業地帯から最先端建築エリアへ
プレスキルの南端、ソーヌ川とローヌ川が実際に合流する地点一帯がコンフリュエンス(Confluence=合流)地区です。かつては屠殺場、ガス工場、卸売市場(2009年まで営業)が並ぶ工業・物流エリアでしたが、1990年、当時のレイモン・バール市長のもとで再開発が始動。2000年代以降、古い倉庫や港湾施設が住宅・オフィス・商業施設へと生まれ変わり、リヨンでも屈指の実験的な都市エリアとなりました。

写真:lyon-france.com
象徴的な建物が、2010年に建築家ドミニク・ジャコブとブレンダン・マクファーレンが手がけたキューブ・オランジュ(オレンジの立方体)です。かつての港湾地区・ケ・ランボーの倉庫跡地に建てられ、そのオレンジ色は工業地帯だった過去へのオマージュだといわれています。少し南には2015年開業のキューブ・ヴェール(緑の立方体)があり、国際ニュースチャンネル「ユーロニュース」の本社が入居。こちらの緑色は、ソーヌ川の水面や対岸の丘の緑との対話を意図した色使いです。かつての製糖工場を改装したラ・シュクリエールは、現在アート展示会場として使われるなど、旧工業建築のリノベーション事例としても見どころが多いエリアです。
コンフリュエンス・ショッピングセンター——70以上のショップと大型シネマ
コンフリュエンス地区には、大型商業施設サントル・コマーシャル・コンフリュエンスもあります。5万㎡を超える売り場面積に70以上のショップ、複数のレストラン、大型スーパー「カルフール」、14スクリーンを備えるシネマコンプレックス「UGC」が入り、雨の日の観光プランとしても便利です。
サントル・コマーシャル・コンフリュエンス
住所:112 Cours Charlemagne, 69002 Lyon
営業時間:ショップ 月〜土 10h〜20h、レストラン 毎日10h〜23h(金土は深夜0時まで)
アクセス:トラムT1「Hôtel de Région – Montrochet」下車
公式サイト:westfield.com/fr/france/confluence
水辺の公園とプロムナード——ソーヌ川沿いを歩く

写真:イメージ/Pexels
コンフリュエンス地区の見どころは建築だけではありません。ソーヌ川沿いに整備されたパルク・ド・ソーヌは、13ヘクタールの水景と3,000本以上の木々からなる遊歩道です。半島の先端近くにはプラス・ノーティック(水上広場)と呼ばれる親水空間があり、ショッピングセンターが水面に映り込む景色が楽しめます。対岸のジェルラン地区へは、2013年完成の歩行者・自転車専用橋パスレル・レイモン・バールで渡ることができます。半島の突端にあるリヨン現代美術館(ミュゼ・デ・コンフリュエンス)もあわせて訪れたいスポットです([リヨンの美術館・博物館ガイド]参照)。
アクセスと歩き方
プレスキル&コンフリュエンス
ベルクール広場アクセス:メトロA・D線「Bellecour」駅
コンフリュエンス地区アクセス:トラムT1「Hôtel de Région – Montrochet」、または遊覧船バポレット
徒歩の目安:ベルクール広場からコンフリュエンス先端まで徒歩約30〜40分
おすすめの回り方(半日〜1日):
- ベルクール広場でルイ14世像と広場の雰囲気を楽しむ
- リュ・ド・ラ・レピュブリックでショッピング
- トラムまたは徒歩でコンフリュエンス地区へ移動
- キューブ・オランジュ、キューブ・ヴェールなど現代建築を見学
- パルク・ド・ソーヌ、プラス・ノーティックで水辺散策
- リヨン現代美術館へ(時間があれば)
訪問のヒント
- 雨の日はコンフリュエンス・ショッピングセンターへ:屋内で買い物と食事が完結できます
- 写真好きなら夕方がおすすめ:キューブ・オランジュ/ヴェールは夕日や夜景で表情が変わります
- 美術館とセットで1日プランに:ミュゼ・デ・コンフリュエンスの独特な建築もこのエリアのハイライトです
よくある質問
プレスキルとコンフリュエンスは同じ日に回れますか?
はい。ベルクール広場からコンフリュエンス先端まで徒歩30〜40分、トラムなら数分です。半日あれば両方楽しめます。
ショッピングセンターは日曜も営業していますか?
カルフール(スーパー)は日曜午前のみ営業ですが、多くの専門店は日曜定休です。事前に公式サイトでの確認をおすすめします。
コンフリュエンス地区は夜でも安全ですか?
再開発された新しいエリアで人通りも多く、比較的安心して歩けます。とはいえ、他の都市部と同様に基本的な注意は心がけましょう。
キューブ・オランジュやキューブ・ヴェールは内部見学できますか?
オフィス・企業施設のため、内部の一般公開は行われていません。外観の見学と写真撮影を楽しみましょう。
まとめ
プレスキルとコンフリュエンスは、19世紀の街並みと21世紀の建築が同じ半島の上で共存する、リヨンの「今」を感じられるエリアです。
- アクセス:メトロA・D線「Bellecour」駅、コンフリュエンスへはトラムT1
- 外せない3点:ベルクール広場・リュ・ド・ラ・レピュブリック・キューブ・オランジュ/ヴェール
- 組み合わせ:リヨン現代美術館とセットで1日プランに
歴史地区とは違うリヨンの表情を、ぜひプレスキルとコンフリュエンスで体感してください。





