私がリヨンで暮らしていた頃、ベルクールや市庁舎の周辺はよく歩く場所でした。日本へ移ってから戻ってみると、見慣れていたはずの建物が、驚くほど美しく感じられたのを覚えています。そんな再発見があったのが、二つの川に挟まれたプレスキルです。このガイドでは広場や通り、さらに南のコンフリュエンスまで、街並みの変化をたどります。

写真:visitelyon.fr
情報確認日:2026年8月22日
ショップ、商業施設、美術館、交通アクセスは営業時間や工事で変わることがあります。訪問前には公式サイトとTCLの運行情報を確認してください。
プレスキルとは——2つの川に挟まれた「半島」
「プレスキル」はフランス語で文字通り「半島」を意味します。西にソーヌ川、東にローヌ川が流れ、この2本の川に挟まれた細長い地形がリヨンの街の骨格を作っています。中世から商業の中心地として発展してきたこのエリアは、19世紀半ば、知事クロード=マリウス・ヴァイスのもとで大規模な都市整備が行われ、現在の街並みの基礎が築かれました。
ベルクール広場——約62,000㎡を誇るリヨンの中心
プレスキルの中心にあるのがベルクール広場です。310m×200m、約62,000㎡という広さは、リヨンを代表する大広場として知られています。名前の由来は、かつて大司教が所有していた「ベラ・クルティス(美しい庭)」というブドウ畑から。1658年にルイ14世がこの地を「王の広場」と定めたことで、現在の姿の礎が築かれました。
広場の中央にはルイ14世の騎馬像が立っています。実はこれは2代目の像です。初代は1713年に彫刻家マルタン・デジャルダンが制作しましたが、フランス革命の際に破壊され、現在の像は1825年にフランソワ・フレデリック・ルモが手がけたものです。冬季(11月〜3月)には広場の東側に高さ60mの大観覧車が登場し、季節ごとに異なる表情を見せてくれます。

リュ・ド・ラ・レピュブリック——19世紀に生まれたショッピングストリート

写真:Wikimedia Commons
ベルクール広場から北へ延びるリュ・ド・ラ・レピュブリックは、リヨン随一のショッピングストリートです。1858年、ヴァイスの都市計画のもとで「リュ・アンペリアル(帝政通り)」として切り開かれ、市庁舎とベルクール広場を一直線に結ぶ目抜き通りとして誕生しました。その後何度か改称を経て、1878年に現在の名前に。1975年に歩行者専用化され、以来リヨン市民と観光客でにぎわうメインストリートとなっています。かつてこの通りには老舗百貨店「グラン・バザール」(1886年開業)があり、リヨンの近代小売業の発展を象徴する存在でした(2005年に取り壊し)。現在も大小さまざまなブティックが軒を連ねています。
コレージュ歩道橋の先で、見慣れた街を見直した
日本で暮らし始めてからリヨンへ戻ったとき、コレージュ歩道橋を渡り、メネストリエ通りの小さな通路へ向かいました。その入口で、建物の細部に目が留まったのです。何年もリヨンに暮らしていたのに、気づいていなかったものがありました。
以前の私なら、何気なく通り過ぎていた場所だったと思います。そのときは、ただ建物の美しさに見入っていました。リヨンで街歩きをするなら、有名な広場へ向かう途中にも、少し立ち止まってみてください。
通路はリセ・アンペールの建物を抜け、ジャン・ムーラン河岸とブルス通りを結んでいます。場所の確認には地域の建築・歴史散策ガイドも参考になります。学校周辺なので、通行できる範囲と現地の案内を守って歩きましょう。
もう一つ、立ち寄ってほしいパサージュ・ド・ラルグ
プレスキルの散歩で私が勧めたい場所に、パサージュ・ド・ラルグ(Passage de l’Argue)もあります。通路そのものを眺めて楽しめる、屋根付きの商店街です。買い物の目的がなくても、街歩きの途中に組み込んでみてください。入口などの基本情報はリヨン観光局の案内で確認できます。
コンフリュエンス——工業地帯から最先端建築エリアへ
プレスキルの南側、ソーヌ川とローヌ川の合流点に向かって広がるのがコンフリュエンスです。かつて工業や物流の施設が集まっていた地区で、再開発によって住宅、オフィス、商業施設、水辺の公共空間が整備されてきました。古い倉庫などを活用した建物と、新しい建築をあわせて見ることができます。

写真:lyon-france.com
象徴的な建物が、2010年に建築家ドミニク・ジャコブとブレンダン・マクファーレンが手がけたキューブ・オランジュ(オレンジの立方体)です。かつての港湾地区・ケ・ランボーの倉庫跡地に建てられ、そのオレンジ色は工業地帯だった過去へのオマージュだといわれています。少し南には2015年開業のキューブ・ヴェール(緑の立方体)があり、国際ニュースチャンネル「ユーロニュース」の本社が入居。こちらの緑色は、ソーヌ川の水面や対岸の丘の緑との対話を意図した色使いです。かつての製糖工場を改装したラ・シュクリエールは、現在アート展示会場として使われるなど、旧工業建築のリノベーション事例としても見どころが多いエリアです。
コンフリュエンス・ショッピングセンター——ショップと大型シネマが集まる水辺の商業施設
コンフリュエンス地区には、大型商業施設サントル・コマーシャル・コンフリュエンスもあります。5万㎡を超える売り場面積に、ファッション・雑貨・飲食店・大型スーパー「カルフール」、14スクリーンを備えるシネマコンプレックス「UGC」が入り、雨の日の観光プランとしても便利です。
サントル・コマーシャル・コンフリュエンス
住所:112 Cours Charlemagne, 69002 Lyon
営業時間:ショップ 月〜土 10h〜20h、レストラン 毎日10h〜23h(金土は深夜0時まで)
アクセス:トラムT1「Hôtel de Région – Montrochet」下車
公式サイト:westfield.com/fr/france/confluence
水辺の公園とプロムナード——ソーヌ川沿いを歩く

写真:イメージ/Pexels
コンフリュエンスでは、ソーヌ川沿いの遊歩道や、水辺の広場を歩くこともできます。さらに合流点側へ進むと、コンフリュエンス博物館があります。自然史や人間の社会を扱う施設で、現代美術館のmacLYONとは別の博物館です。展示内容は博物館公式サイトで確認できます。近くのレイモン・バール橋は、トラム、歩行者、自転車がローヌ川を渡る橋で、ジェルラン側につながります。
アクセスと歩き方
移動の目安
ベルクール広場はメトロA・D線Bellecour駅が最寄りです。コンフリュエンスでは、商業施設やキューブ・オランジュへ行くのか、博物館や合流点まで行くのかで距離が変わります。目的地に合わせて徒歩とトラムを組み合わせ、最新の経路はTCL公式サイトで確認してください。
おすすめの回り方(半日〜1日):
- ベルクール広場でルイ14世像と広場の雰囲気を楽しむ
- リュ・ド・ラ・レピュブリックでショッピング
- トラムまたは徒歩でコンフリュエンス地区へ移動
- キューブ・オランジュ、キューブ・ヴェールなど現代建築を見学
- パルク・ド・ソーヌ、プラス・ノーティックで水辺散策
- コンフリュエンス博物館へ(時間があれば)
訪問のヒント
- 雨の日はコンフリュエンス・ショッピングセンターへ:屋内で買い物と食事が完結できます
- 写真好きなら夕方がおすすめ:キューブ・オランジュ/ヴェールは夕日や夜景で表情が変わります
- 博物館とセットで1日プランに:コンフリュエンス博物館の独特な建築もこのエリアのハイライトです
よくある質問
プレスキルとコンフリュエンスは同じ日に回れますか?
同じ日に回れますが、プレスキルの北側から合流点までは距離があります。コンフリュエンスで見たい建物や博物館を先に選び、徒歩だけで回るか、途中でトラムを使うかを考えておくと計画しやすくなります。
ショッピングセンターは日曜も営業していますか?
カルフール(スーパー)は日曜午前のみ営業ですが、多くの専門店は日曜定休です。事前に公式サイトでの確認をおすすめします。
コンフリュエンス地区は夜でも安全ですか?
再開発された新しいエリアで人通りも多く、比較的安心して歩けます。とはいえ、他の都市部と同様に基本的な注意は心がけましょう。
キューブ・オランジュやキューブ・ヴェールは内部見学できますか?
オフィス・企業施設のため、内部の一般公開は行われていません。外観の見学と写真撮影を楽しみましょう。
まとめ
プレスキルとコンフリュエンスは、19世紀の街並みと21世紀の建築が同じ半島の上で共存する、リヨンの「今」を感じられるエリアです。
- アクセス:メトロA・D線「Bellecour」駅、コンフリュエンスへはトラムT1
- 外せない3点:ベルクール広場・リュ・ド・ラ・レピュブリック・キューブ・オランジュ/ヴェール
- 組み合わせ:コンフリュエンス博物館の見学と水辺の散歩
広場や大きな建築を見た後は、小さな通路やいつもの街角にも目を向けてみてください。私がリヨンへ戻ったときに足を止めたのも、そうした場所でした。コンフリュエンスまで足を延ばす日は、移動の時間も見込みながら、眺めたい建物を選んでおくと楽しめます。





