[リヨンへの行き方完全ガイド]では日本やパリからリヨンまでの移動手段を紹介しましたが、今回はリヨンに着いてからの移動手段にフォーカスします。中心部はコンパクトながら、ソーヌ川・ローヌ川という2つの川と、フルヴィエール・クロワ・ルースという2つの丘があるため、地形に合わせた交通手段の使い分けが快適な観光の鍵になります。メトロ・トラム・フニキュレール・レンタサイクルまで、リヨン市内の移動方法を一つずつ解説します。
この記事を書いた人
リヨン出身のフランス人。日本在住。日本人旅行者向けに、実際の現地情報をわかりやすく紹介しています。
TCLとは——バス・メトロ・トラム・フニキュレールを1枚の切符で
リヨンの公共交通機関はTCL(Transports en Commun Lyonnais/リヨン都市圏交通局)が一括して運営しています。メトロ・トラム・バス・フニキュレール(ケーブルカー)のすべてが同じ運賃体系・同じ切符で利用でき、1時間以内なら乗り物を乗り継いでも追加料金はかかりません。観光客にとって最大のメリットは、「フニキュレールで丘に登り、メトロで移動し、バスで戻る」といった組み合わせも1回分の運賃で完結する点です。公式アプリ「TCL」でスマートフォン上に切符を購入・保存でき、リアルタイムの運行状況も確認できます。
メトロ——4路線でリヨンを縦横に移動

写真:tclyon.fr
リヨンのメトロはA・B・C・D線の4路線、計44駅で構成されています。特にD線は無人運転(自動運転)で、リヨン中心部を東西に貫く観光利用の多い路線です。旅行者がよく使う主要駅は以下の通りです。
- Bellecour(ベルクール):A・D線。プレスキル地区の中心、リヨン最大の広場
- Vieux Lyon(ヴュー・リヨン):D線。旧市街とフニキュレールF1・F2の起点
- Hôtel de Ville(オテル・ド・ヴィル):A線。クロワ・ルースの丘の玄関口
- Part-Dieu(パール・デュー):B線。TGVが発着する主要駅、高層ビル街
運行時間は日曜〜木曜が5時頃〜0時30分、金・土・祝前日は1時15分まで延長されます。日中は2〜5分間隔と非常に高頻度で運行しており、時刻表を気にせず利用できるのも大きな魅力です。

図:TCL
トラムとバス——郊外や駅、空港ラインまでカバー

写真:grandlyon.com
メトロが届かないエリアは、T1〜T7の7路線からなるトラム網と路線バスが補完しています。パール・デュー駅やペラーシュ駅といった主要駅と郊外の住宅街を結んでおり、日帰り観光やホテルが中心部から少し離れている場合に重宝します。
なお、空港(サン・テグジュペリ空港)とパール・デュー駅を結ぶトラム型高速鉄道「ロヌエクスプレス(Rhônexpress)」はTCLとは別料金・別会社の運行です([リヨンへの行き方完全ガイド]参照)。
フニキュレール——「フィセル」で丘を登る

写真:tclyon.fr
リヨン最大の特徴とも言えるのが、地元で「フィセル(ficelle=ひも)」の愛称で親しまれるフニキュレール(ケーブルカー)です。急な丘を歩かずに登れる貴重な足として、観光客にも人気があります。
- F1号線:ヴュー・リヨン ⇔ サン・ジュスト方面。ミニム、サン・ジュストなどの駅を経由
- F2号線:ヴュー・リヨン ⇔ フルヴィエール。所要約3分、[フルヴィエールの丘 完全ガイド]の大聖堂前に直結
どちらもメトロD線「Vieux Lyon」駅に隣接する乗り場から発着し、通常のTCL乗車券でそのまま利用できます。丘の上の[ヴィユー・リヨン完全ガイド]や[フルヴィエールの丘 完全ガイド]を訪れる際は必ずお世話になる存在です。
切符とパス——料金体系を理解する
TCLの運賃は「ゾーン制」ですが、観光客が滞在する中心部(ゾーン1〜2)だけで主要な観光地はほぼ完結します。改札はなく信用乗車方式のため、乗車時に必ず打刻機(バリダトゥール)で切符を検証してください。検札で無効な切符が見つかると高額な罰金(50€以上)が科されるので注意が必要です。
TCL運賃の目安(ゾーン1〜2)
1回券:2.10€(1時間以内の乗り継ぎ自由、メトロ・トラム・バス・フニキュレール共通)
10回券(カルネ):約20.50€
1日券(チケ・リベルテ):約7.10€
購入方法:TCL公式アプリ、駅の券売機、一部のたばこ店(タバ)
公式サイト:tcl.fr
Vélo'v——レンタサイクルで爽快に移動

写真:Les Echos
リヨンは2005年にフランスで初めて大規模自転車シェアリングを導入した街としても知られ、市内にはVélo'vと呼ばれる赤い貸自転車のドッキングステーションが数百カ所あります。ソーヌ川・ローヌ川沿いの遊歩道はサイクリングロードが整備されており、天気の良い日には自転車での移動も快適です。
利用には専用アプリでの登録が必要で、短期滞在者向けの1日パスを購入すれば、最初の30分は追加料金なしで乗り放題(乗り継ぎ)。それ以降は延長時間に応じて少額の追加料金がかかる仕組みです。電動アシスト付きの車両も選べます。
Vélo'v
1日パス:数ユーロ程度(最初の30分無料、以降は延長時間に応じて加算)
登録方法:公式アプリ「Vélo'v」またはステーションの端末
公式サイト:velov.grandlyon.com
リヨン・シティ・カード——観光に特化したお得なパス
美術館やガイドツアーもまとめて楽しみたいなら、観光局が発行するリヨン・シティ・カードが便利です。TCL全路線(メトロ・トラム・バス・フニキュレール)が乗り放題になるのに加え、美術館・博物館26施設への入場、大聖堂の屋根裏特別見学、川クルーズなどが1枚のカードに含まれています。数日間にわたってしっかり観光する予定なら、個別に切符やチケットを買うより割安になるケースが多いです。
リヨン・シティ・カード
24時間:26.90€/48時間:35.90€/72時間:44.90€/96時間:53.90€
含まれるもの:TCL乗り放題、美術館26施設、ガイド付きツアー、川クルーズ
購入方法:観光局公式オンラインショップ、観光案内所
公式サイト:visiterlyon.com
徒歩という選択肢——実は一番効率的なことも
リヨンの中心部は想像以上にコンパクトです。ベルクール広場からヴュー・リヨンまでは徒歩約15分、ベルクールからパール・デューまでは徒歩約25分程度で、天気が良ければ川沿いの散策を兼ねて歩くのもおすすめです。プレスキル地区内の移動は、公共交通よりも徒歩の方が早いことも少なくありません。
観光客が知っておきたい注意点
- 切符は必ず打刻:改札がなくても未検証はNG。検札に当たると高額な罰金の対象になります
- 公式アプリを入れておく:TCLアプリで切符購入とリアルタイム運行状況の両方が確認できて便利です
- フニキュレールは早朝・深夜の運行間隔に注意:日中より本数が減るため、時間帯によっては待ち時間が発生します
- 満員のトラム・メトロではスリに注意:観光客が多い路線・時間帯は貴重品を体の前で管理しましょう
よくある質問
メトロとトラムは同じ切符で乗れますか?
はい。TCLが運営するメトロ・トラム・バス・フニキュレールはすべて共通の切符・運賃体系で、1時間以内なら乗り継ぎも自由です。
空港からリヨン市内へはTCLの切符で行けますか?
いいえ。空港とパール・デュー駅を結ぶロヌエクスプレスはTCLとは別料金です。詳しくは[リヨンへの行き方完全ガイド]をご覧ください。
フニキュレールに乗るのに追加料金は必要ですか?
不要です。通常のTCL乗車券やパスでそのまま利用できます。
リヨン・シティ・カードは何日滞在するなら元が取れますか?
美術館を2〜3館以上回る予定があり、かつ丸一日以上しっかり観光するなら割安になりやすい設計です。短時間の滞在や移動中心の旅程なら、通常のTCL切符で十分な場合もあります。
Vélo'vは観光客でも簡単に使えますか?
専用アプリでの登録とクレジットカード決済が必要ですが、手順自体はシンプルです。ソーヌ川・ローヌ川沿いは走りやすく整備されているので、天気の良い日にはおすすめの移動手段です。
まとめ
リヨン市内の移動は、TCL(メトロ・トラム・バス・フニキュレール)を軸に、Vélo'vや徒歩を組み合わせるのが基本です。
- 中心部の移動:メトロ・トラム・徒歩で十分カバー可能
- 丘への移動:フニキュレール(F1・F2)が必須
- まとめて観光するなら:リヨン・シティ・カードが便利
日本からリヨンまでの行き方は[リヨンへの行き方完全ガイド]、丘の上の見どころは[ヴィユー・リヨン完全ガイド]と[フルヴィエールの丘 完全ガイド]を参考に、快適な滞在の足取りを組み立ててみてください。




